■神秘の子羊の数奇な運命
さて、引き続きフランドルの天才画家ヤン・ファン・アイクの<神秘の子羊>にまつわるお話です。
兄フーベルト・ファン・アイクが依頼を受け手がけたが製作途中で死去、その後弟ヤン・ファン・アイクの手によって完成された祭壇画ですが、この祭壇画もその後数奇な運命をたどっていきます。
1432年5月6日、完成した<神秘の子羊>が世にお披露目されますが、これがこの祭壇画の悲劇の始まり。このとき、折りしも宗教革命の真っ只中です。
偶像破壊運動から守るため、祭壇画は200年もの間市庁舎へ保管されますが、フランス革命後、ナポレオンによって略奪、ルーブル美術館で公開されています。
ワーテルローの戦いにナポレオンが敗北すると、すべて返還された矢先、ゲントの司教は事もあろうにその一部を借金の形にいれてしまいます。
そして、プロイセン王フリードリヒベルヘルム世に買い取られ、ベルリンに。
第一次世界大戦にはドイツ軍に略奪され、ベルサイユ条約により一度返還されるが、1枚のパネル「正しき裁き人」が盗まれます。
第二次世界大戦にはナチスの手により、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城へ持ち込まれたのち、ドイツの戦況悪化にともないオーストリアに。
第二次世界大戦終結後にアメリカ軍が『ゲントの祭壇画』を発見し、ブリュッセル王宮にて開催された式典でベルギーへと返還されました。
しかし、たった一枚、盗まれた「正しき裁き人」の絵は戻ルことはありませんでした。
このように、激動の時代を時の権力者により、まさに激流に流されるかのような運命をたどった<神秘の子羊>は、
ようやくもとのゲントへ返還され、現在姿を見ることが出来るのです。
実物は写真では分からない繊細なヤン・ファン・アイクの筆遣いが見て取れます。
そして、それまでの損傷を大々的に修復する作業が2012年9月から行われており、現在は第1段階の中盤を過ぎました。
修復についての情報はこちらのブログをご覧ください。
修復作業はゲント美術館(Museum of Fine Arts Ghent)で見学できます。(お一人様5ユーロ程)
そのほかにもゲント美術館ではヒエロニムス・ボス、アンソール、マグリットの作品などがご覧いただけます。
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